おまけ的な感じで、今回作品で考えてた背景とかを載せつつ、あとがきを書きます。
【主人公のこととか】
東京から引越してきた男子中学生。クラスメートには「東京もん」と呼ばれています。わぁ安直ー
うーん、それ以外に書くことは特にない……あっ、彼には特に後悔してもらう事大前提でした(最低)
母は小学生の時に死別、父は仕事で忙しくなかなか帰ってこれない状況だった為、ひとりだと寂しいだろうと、親戚がいる長野県に引っ越してきたという設定ですが、元々は父親の転勤で一緒に長野県に引っ越してきたという設定でした。
まぁ、普通に越してきたんやなぁくらいだったんですけど、どうせなら地元の事をよく知っているポジが親戚の方が良いかなぁとも思い、設定変更。
完全思いつきチャートなんで、展開的にあうかどうかはばくち。
年齢も高校一年生だったのですが、それだとまぁある程度は自立しているだろうしなぁということで、中学二年生に変更。
中学の方が多感でしょうし、なんとなく子供と大人の間って時期だと思うので。料金も中人っていう料金払うくらいだしね!(ぇ
【東風谷早苗】
メインヒロインですね。東方projectの中で一番好きな人物です。昔は「俺の嫁!!!」とか言ってましたね~今の子たちからしたらドン引きでしょう。
まぁ、今回の話のヒロインですから。主人公にとって最も魅力的な女性となるポジションで。
僕の中の早苗さん像としては、「どこか抜けているけれど、それが不思議とウィークポイントに見えないしそれどころか魅力的に見える」というなんか無敵な感じです。
まぁ一応恋愛的要素を含める予定なので、じゃあ今回の早苗さんも何かモデルがいるのかというとそういうわけでもなく、今回の早苗さんに対する主人公の想いは、僕から見た創作というものについての想いを込めたりしました。
創作こそ、僕にとって常に憧れである対象ですので。憧れて、手を伸ばそうとしても届かなかった存在。それが僕にとっての創作活動への想いです。なんか最近、創作に恋してるのかなあみたいなことをふと思ったので。凄い酔ってるね。しらふなのよこれでも。
【守矢の二柱】
この作品での守矢の二柱は、信仰の力が極めて薄くなっています。信仰心が人々からなくなった為、幻想郷へ移動するほどですから。
ですので、この作品では基本的に二柱の話は出てきません。主人公からしても、信仰が少なくなった彼女達はただの少女のようにしか見えません。
八坂神奈子様は本作では気さくな感じにしています。求聞口授でも「今の神様は友達感覚な方が良い」みたいな事を言っていた気がするので(超うる覚え)。
一方で、洩矢諏訪子様は対照的に厳格な感じで。実際、非想天則等では早苗さんに対しても厳格な感じだったらしいので。
【御神渡り】
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、冬の諏訪湖に出現する氷の筋の事を指す御神渡りには、ある逸話もあります。
というのもこの御神渡り、諏訪大社上社の男神が、下社の女神に会いに行ったという伝説があります。ロマンティックですね。
伝説上では上社の男神(建御名方神)が、下社にいる女神(八坂刀売神)に会いに行く際に出来た通り道と言われているそうです。なんでも、夜な夜な会いに行ったときに利用したとか、秘密で会いに行くものだから、夜明け前に急いで帰った時に出来たとか。
インターネットで調べるとすぐに写真が出てきますが、とても素晴らしい景色なので是非現地に行って本物を見てください。もちろん、現地の方に失礼のないように。間違えても氷の上に乗ったりしてはいけませんというか多分できません。この作品はフィクションですので。早苗さんがやったのは奇跡の技です。
現実の諏訪湖には温泉が湧き出すポイントがあり、氷が張らずに穴ができる場所があります。氷の厚さ・強さにムラがあるので、一歩間違えると冷たい湖にドボンしてしまいます。下手したら助けられずに溺死してしまうかも……
なので、一般の人が氷上に立ち入るのはとても危険です。見るだけにしてください。本当に。頼むよ。
【人々の信仰心】
近代化が進み、科学が信仰されるようになった一方で、神様という偶像そのものが創造から作られたものという認識が広まり、人々に信仰する力という物がなくなりつつありました(現実の日本人の信仰に対する印象等とは無関係です)。
お正月や季節行事といった儀式は形式的には残ってはいると思いますが、神様が本当にいると信じている人はごく少数まで減ってしまったのでしょう。
現代のハロウィンやクリスマスが日本人からしたら娯楽に近いイベントとなりつつあるように、もしかしたら正月や盆についても、和服を着たり餅を食べたりするだけの風習になってしまったのかもしれません。
だからこそ、彼女達は幻想郷に行かなければなかった。
しかし、どうなんでしょう。現実でも科学の発展と共に神の存在を疑うようになり、ニーチェも神は死んだと言ってました。しかしその一方で、とある統計では著名な科学者のうち八割の方は、神の存在を信じていたそうです。トーマス・エジソンは晩年の開発を死後の世界との交信の為の開発に費やしていたそうですし、アインシュタインも人知を超えた大いなる力の存在をほのめかしていたそうです。
物理学や科学を突き詰めていけばいくほど、神様がこの世界を作ってしまったかのように、人知を超えた何かが手を加えたのではないかと思ってしまうほどに、この世界というのは出来すぎていると考えてしまうそうです。
個人的には神様のような高位的存在を信じているのですが、実際に科学や情報が進歩していくと、神様の存在は消えてしまうのでしょうか。それとも、すべてを追求したとき、初めて我々は神様と接触する事が出来るようになるのでしょうか。
話が脱線してしまいましたが、なんとも面白い題材ですよね。
そんなこんなで、今回の物語の諏訪でも、神様の存在は皆忘れていました。そんな中でも、自分の町を囲む山々や、中心に大きく広がる湖にどこか神秘さを感じた住人達は、今でもその不思議な感覚にまどろみながらも、伝統を守っていました。
果たして、本当の意味を知らぬままでも、神様というのは姿を保ち続けるのでしょうか。
【あとがき】
改めまして啝賀絡太です。
この度は、東風の便りをお取りいただき有難うございました。
この本はもともと「同級生の東風谷さんシリーズ(仮)」的なシリーズ名で出していた本をもとに書きなおしたお話です。
以前は、御神渡りと諏訪の花火という名前で二巻まで発刊してましたが、いろいろな流れがあって、最後のお話を書くまで至らず、2年ほど過ぎていました。
ただ、このお話は、同人活動始めた時にいつか絶対に書きたいと思っていたお話だったので、今回また書くことに。
それともう一つ。実は以前、旧シリーズの諏訪の花火で「取り置きしてくれませんか?」と言っていただいた事がありまして、結局お渡しすることは出来ませんでしたが、それでもそう言って貰えたことがとても嬉しくて、このお話はなんとしても完結してお届けしたいという思いが強くなりました。
お話を書くとき、途中で展開を変える事もありますが、ある程度はこういう筋にしようとか、根幹?コンセプト?みたいなのを書いてます。
今回は後悔をテーマに。
早苗さんは幻想入りする事が確定していますから、どうして幻想入りする前、信仰心が薄くなった世界は彼女達をどう見ていたんだろう、なんて思ってたんだろうと。
最初に思ったのは、拒絶でした。経験則によるものですが、人は自分と異なるものを見るときに恐怖と拒絶を感じやすいと思ったので。特に子供の頃は、学校という閉鎖された空間で過ごすので適切な距離を取るという手段が出来ず、拒絶したり攻撃する選択になってしまうのではないでしょうか。
主人公も都会から来たという事でからかわれ、孤立感を感じていたので、寧ろ優しく早苗さんにされて好きになってしまったそうですが、現人神・風祝であることを知らなかったので普通の女子として接する事が出来たのではないでしょうか。
東風谷さんともっと仲良く登下校したり、帰り道に買い食いしながら帰ったり、テスト勉強したいなぁとかいろいろ思ってたりもしてたんですけど、締め切りの都合上間に合いませんでした……でも、あった方が話に重みをもたせれたぁなぁと、反省、もとい後悔することに(は?)
あとは、この基になった前シリーズを書き始めようと思った時からなんとなく頭にあったのが、森鷗外さんが書いていた舞姫という作品で冒頭に主人公が船の上で懺悔をするシーンでした。
学校の授業で読んでから印象に残ってて、後悔をテーマにするなら誰かに回想を話す導入にしようかなと思い、どうせ話すなら東方キャラが良いよなと思い、それならまぁあの人しかいないなって事で、タンザナイトみたいな瞳をもってそうなあの人です。
さて、話の展開についてですが、どうせ諏訪を舞台にするなら御神渡りがいいなと思い第一章は御神渡りにしてますが、他にも諏訪には諏訪七不思議と呼ばれるくらいの伝承があって(しかも七種類以上ある。七不思議とはこれ如何に)それらも取り上げたかったのですが、上手く組み込めませんでした……
ついでに言うと、回想後の展開は本当に最後の最後に変更しました。
もともとは再び幻想入りして早苗さんにお礼とお別れを告げる展開にしようかなぁと思ってたのですが、今回はちょっとビターな感じのオチにもしたかったので変更しました。
まぁそんなこんなで、結構構成には時間をかけて完成した作品です。
印刷した後、誤字が見つかったりして落ち込んだりもしましたが、これ以上に力作でクオリティを高いのを出すのは難しいかなぁと思ってたり。
それくらい全力で書いたお話なので、少しでも楽しんでいただけてたら幸いです。
次回作の予定等は特にありませんが、また新しい作品が出来たら、その時はよろしくお願いします。
啝賀絡太でした。